☆この記事は、1997年2月28日、アメリカのカリフォルニア州ノース・ハリウッドにある「バンク・オブ・アメリカノースハリウッド支店」で発生した事件について知りたい人におすすめです。
・ノースハリウッド銀行強盗事件の概要を知りたい。
・犯人が使った銃について知りたい。
・犯人の名前や前科を知りたい。
他にも銃で撃たれた警官のその後など、事件の結末について気になることを簡単にまとめています。
ノースハリウッド銀行強盗事件の犯人の名前は、26歳のラリー・フィリップスと、30歳のエミール・マタサラーヌ。
2人は窃盗や詐欺で逮捕歴があり、過去2年間で3回の銀行強盗を働き、強盗と殺人で指名手配中でした。
そして事件当日、犯人らは綿密に練った犯行計画を実行するため、世界中からかき集めた強力な銃と、3000発の弾薬を車に積み込み、「バンクオブアメリカノースハリウッド支店」を襲撃したのです。
そこで今回は、米国史上最悪の銀行強盗事件となり、映画化にもなった「ノースハリウッド銀行強盗事件」の概要をまとめてみました。
ノースハリウッド銀行強盗事件で犯人が使った銃
「ノースハリウッド銀行強盗事件」の主犯恪は、ラリー・フィリップスで、エミール・マタサラーヌが相棒という形で「バンクオブアメリカノースハリウッド支店」を襲いました。
(主犯恪のラリー・フィリップス)
(相棒のエミール・マタサラーヌ)
これまで2人が銀行強盗して盗んだ金額は、200万ドル以上。
事件当日も、マシンガン片手に銀行へ押し入ったのです。
犯人が襲撃したその日の店内は、給料日が近いこともあって、多くの人で混雑し、職員たちはその対処に追われていました。
事実、こうした状況こそが、ラリー・フィリップスの狙い。
セキュリティーが甘くなりがちな頃を見計らい、犯行に及ぼうとしていたのです。
さらに、ラリー・フィリップスは、事前に警察無線を盗聴し、最寄りの警察が通報を受けてから現場の銀行に到着するまでの時間が、8分以上かかることを突き止めていました。
そのため、8分でタイマーが鳴るよう腕時計をセット。
時間内に、現金を奪い取ろうと考えていたのです。
そして、けたたましい銃声を響かせながら銀行を襲撃するのですが、実はその姿を数分前、偶然にも近くを通りかかったパトカーが見つけていました。
さらに、数台のパトカーが現場に急行。
その間も銃声が止むことはありません。
そんな中、警官の1人が銀行に向かう2人の一般人を発見します。
警官は、強盗事件を知らない2人に、パトカーの後ろに隠れるよう支持したのです。
そして、男らが強盗に入ってから4分が経過。
店内を完全に制圧した犯人は、副支店長を脅し、「金庫室はどこだ」と詰め寄ります。
ところが、金庫室には、男らが期待していたほどの大金はありませんでした。
実はこの日に限って、現金輸送車の到着時刻が変更されていたのです。
すると、犯人は腹いせに金庫室に向け銃を乱射。
そして、強盗に入ってから8分が経過します。
ラリー・フィリップスの計算では、まもなくパトカーが到着するので、一刻も早く逃げなければならない。
収穫は30万ドル想定より、はるかに少ない額でした。
しかも、犯人らにとって、想定外の出来事が起こります。
それは、いち早く現場にかけつけた警官たちによって、周囲を完全に包囲されていたのです。
このとき、逃げ道はなく、すぐに両手を挙げるだろうと思われましたが、犯人は降参するそぶりなど一切見せず。
警官たちに向け、銃を発砲し出したのです。
しかも、犯人の使う銃は、警官たちが使う銃よりはるかに威力のあるマシンガン「Akー47」。
銃の性能は、ー分間に600発の弾を撃つことができ、射程距離は何と400メートルにも及ぶものだったのです。
さらに銃弾は、パトカーを貫通し、後ろに隠れる警官らを次々と負傷させていきます。
実は犯人は、違法に入手した鋼鉄製の弾丸を使っていたのでした。
その場にいるのも危険な上に、逃げることもままならない。
たった2人の強盗犯に対し、十数人の警官が束になっても全く歯が立たない状況が続きます。
そんな警官たちの中で、足に負傷を追っていたウィッド・フィールドが、木の影から2人を攻撃しようと果敢に挑むのでした。
ところが、銃弾が太もものど真ん中を打ち抜き、さらに胸にも弾が当たってしまいます。
そんな中、さらに最悪の事態が起きてしまう。
パトカーの後ろに隠れていた一般人の男女までもが、車体を貫通した銃弾が命中してしまったのです。
犯人が防弾チョッキを着用?
人を撃つことに何のためらいもない犯人らは、なおも銃を撃ちまくります。
そんな犯人を物陰から狙っていたのが、ショットガンを手にした射撃の名手・ジェームズゼブラマンでした。
ラリー・フィリップスに照準を合わせたジェームズゼブラマンの銃弾は、上半身に命中。
しかし、ラリー・フィリップスは、なぜか倒れず、鋭い眼光でジェームズゼブラマンを睨みつけると、銃を乱射してきたのです。
銃弾が命中したにもかかわらず、なぜ倒れなかったのかというと、実は鋼鉄の銃弾をも跳ね返す「防弾チョッキ」を自ら作り、それを全身に着込んでいたからです。
この銃撃戦を終わらせるには、もはや頭を狙うしかありません。
しかし、警官たちの普通の銃では距離が遠すぎます。
なすすべなく、負傷者の救出に奔走する警官たち。
その修羅場化とした現場の様子は、全米中に生中継され、テレビの前の人々を震え上がらせたのでした。
銃で撃たれた警官のその後
銃撃戦が始まって18分が経過。
ここでようやく、特殊部隊「SWAT(スワット)」が現場に到着します。
また、銃で撃たれ、ひん死のウィットフィールドをはじめとする、負傷した警官と一般人のその後も気になります。
しかし、皆を救出するには、かなりの危険が伴う。
と、その時、1人の隊員が現金輸送車が到着したことに気がついたのです。
「装甲車に匹敵する頑丈な車体を持つこの車なら、銃弾の雨の中でも突破できるかもしれない」。
早速、隊員たちは車に乗り込み、まずウィットフィールドを救出に向かいます。
このとき、ウィットフィールドは、なんとか生きていたようです。
そして、次に向かったのは一般人2人の元。
しかし、そのうちの1人は、危険な状態に陥り、一刻の猶予もなかったのです。
と、そこへ、SWATの乗った車が近づいてきました。
こうしてSWATにより救出された負傷者たちは、すぐさま病院へと搬送。
結局、現場で負傷者した9人の警官と2人の一般人は、その後、医師たちの懸命な治療によって、なんとか一命は取り留めたのでした。
ノースハリウッド銀行強盗事件 犯人の結末
負傷者を救出し、いよいよここから強盗犯との対決が始まります。
ただ、犯人たちはSWAT相手では分が悪いと判断したのか、ついに現場から逃走を図ったのです。
そして、このときテレビの前の何千万という視聴者は、強盗犯の挙動に注目。
主犯格のラリー・フィリップスは、なんと近くの住宅街へと向かったのです。
思いもよらない行動に、人質でも取るつもりなのかと思われましたが、ラリー・フィリップスは、ふたたび銃を乱射。
慌てて逃げまどう警官たちでしたが、ここで思わぬトラブルが発生します。
それは、弾を打ち過ぎた影響で、マシンガンが動作不良を起こし、使い物にならなくなってしまったのです。
するとラリー・フィリップスは、着ている服の懐から9ミリ口径の拳銃を取り出したのですが、この拳銃は、警官たちが持っているのと全く同じもの。
すぐに警官たちに、周囲を囲まれることになります。
ラリー・フィリップスの結末は、逃げ道はないと観念し、自らの頭を撃ち抜き命を絶ったのでした。
一方、車で逃げまわっていたもう1人の犯人、エミール・マタサラーヌは、SWAT相手に最後の抵抗を見せます。
しかし、多数の銃弾を浴びて崩れ落ち、ついに命を落としたのでした。
「ノースハリウッド銀行強盗事件」は、3000発近い銃弾が発射された、前代未聞の強盗事件。
3000発の弾が発射されたにも関わらず、銀行内にいた職員と客は全員無事で、犠牲者(死者)はゼロ。
唯一、2人の犯人だけが死亡するという結末で、事件は解決したのです。